マンハッタンの摩天楼

マンハッタンの街を船から、そしてエンパイアステートビルの展望台から眺める。距離を置いてマンハッタンを外から眺めると実に不思議な感覚になる。俺が一番だとでも主張するように乱立する高層ビルの嵐である。まるで自分がコンペの審査員になっているような感覚すら覚える。やはりここは摩天楼郡という言葉が相応しいのだろう。昔マンハッタンの摩天楼に関する書物を読んだときいまいちピンとくるものがなかったが自分の眼で見てみるとやはり納得させられる。摩天楼と訳されるskyscraperとは空を削るという意味らしい。その名の通り先端が尖ったビルである。SOM設計のレヴァーハウスやミース設計のシーグラムビルなど完成度の高い高層ビルが建つ中、目を引くのはライトアップされたコテコテのアールデコ様式のクライスラービルである。成功を収めた企業家達の「個」としての威信をかけた高さ競争の末に完成された建物であるからこれほど人々を魅了するのだろうか。(エンパイアも同様だがエンパイアからの眺めのため見えない・・・ロックフェラーにのぼるべきだったか)どちらにせよ現在の企業対企業の中で完成する単純なガラスの箱の高層ビルではここまで人々を魅了し力のある建築は不可能なのだろう。が不可能とは言いたくないものだ。
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